―経営者・リーダー・顧問・相談役のための実践的人間教育プログラム―
著:新原克弥(You’sホールディングス)
序章 「地上天国文明」とは何か
私がこの言葉を口にするたび、多くの人が言う。
「そんな理想郷のようなものは現実には存在しない」と。
だが、私は違う。
地上天国は“どこか遠くの世界”ではない。
今ここでの人間関係、今ここでの仕事の仕方、今ここでの心の在り方の中にこそ芽生えるものだ。
人が本気で人と向き合い、魂を磨き合いながら働くとき、
会社は単なる利益追求の場ではなく、「光の学校」へと変わる。
それが、私のいう「地上天国文明」だ。
これは宗教ではない。
経営学でもない。
もっと根源的な、「人間教育」の話である。
そして私は確信している。
この文明を築くための答えは、小学校教育にすべてがある。
第一章 大人が小学校教育を学び直す意味
私はこれまで、医療、福祉、法律、教育、企業経営、行政――
あらゆる現場を見てきた。
そして気づいた。
どんなに立派な経営理念を掲げても、どんなに高度な専門知識を持っても、
「人と真剣に関わる力」がなければ、すべてが崩れる。
小学校では、子どもたちが泣き、笑い、ぶつかり合いながら成長する。
そこには「人間教育の原点」がある。
それをもう一度、大人が学ぶ必要があるのだ。
このカリキュラムは、経営者のための「原点回帰」である。
知識でもテクニックでもなく、魂を鍛える教育だ。
第二章 小学校教育の三本柱を経営に生かす
小学校の教育には、実は企業経営のすべてが詰まっている。
1. 体験活動(Doing)
子どもたちは、まず“やってみる”。
失敗しながら、感じ、考え、学ぶ。
大人の世界では「やらない言い訳」ばかりが先に立つ。
だが本当の学びは、体験を通してしか得られない。
経営者はまず、自ら体験する人であれ。
2. 人間関係(Relating)
クラスには必ず、苦手な子もいる。
それでも同じ時間を過ごす中で、互いを理解していく。
企業にも同じ構造がある。
「嫌いな社員」「合わない部下」を排除するのではなく、
そこから「関係の修復力」を学ぶことが、経営者の魂を磨く。
3. 成長(Growing)
小学校の先生は、できない子を切り捨てない。
何度も声をかけ、寄り添い、励ます。
この「人を信じる姿勢」が、リーダーに一番求められている。
第三章 相談役の生き方へ
私は多くの企業の顧問を辞め、「相談役」という生き方を選んだ。
理由は簡単だ。
顧問は「答えを与える人」。
相談役は「相手の中にある答えを引き出す人」。
今の時代に必要なのは、上から教えるリーダーではなく、
共に考え、共に歩む相談役的リーダーだ。
相談役とは、光を与える存在ではなく、
相手が自ら光に気づく“場”を整える存在。
経営者も社員も、光を宿している。
その光を信じ、導くこと。
それが新時代の経営だ。
第四章 企業が地上天国の学校になる
地上天国文明の構築は、まず「職場」から始まる。
会社は社会の縮図だ。
一人ひとりが魂を成長させる“学び舎”になるとき、
会社は単なる組織ではなく「学校」へと変わる。
以下に、実践プログラムを示す。
第1段階:気づきの授業(自己理解)
• 自分の心を見つめるワーク
• 過去の体験を「成長の糧」として書き出す
• 自分の中の「恐れ」と「愛」を理解する
第2段階:関わりの授業(他者理解)
• 社員同士での対話型セッション
• 傾聴と感情共有の訓練
• 「ありがとう」「ごめんなさい」を素直に言える環境づくり
第3段階:創造の授業(組織再構築)
• チームで「理想の会社像」を描く
• 経営理念を日常の行動に落とし込む
• 問題を“学びのチャンス”に変換する方法
第4段階:奉仕の授業(社会とのつながり)
• 地域貢献・教育支援活動への参加
• ボランティアを通じた魂の実践
• 「働く=人を幸せにする」ことの再定義
第五章 経営者の魂が整うとき、企業が光る
会社の運気は、社長の心で決まる。
社長が荒れれば、会社も荒れる。
社長が澄めば、会社も澄む。
このシンプルな真理を、多くの経営者が忘れている。
「数字」や「戦略」ばかりを追いかけ、
心の経営を見失っている。
地上天国文明とは、心を中心に置いた経営である。
それは「甘い理想」ではなく、
本当の意味での持続可能経営の根幹だ。
第六章 企業研修プログラム構成(実践用)
段階 テーマ 内容 期間
1 自己発見と原点回帰 自己対話・内省・心の整理 2日
2 人間関係の再構築 傾聴・対話・信頼形成 3日
3 経営理念の再定義 経営理念×人間教育 2日
4 組織文化の変容 体験・振り返り・実践共有 4日
5 社会貢献活動 地域・教育・奉仕プロジェクト 3ヶ月
研修後は、各企業が「相談役リーダーシップ」を内製化することを目指す。
顧問が管理するのではなく、社員一人ひとりが“相談役的存在”として機能する。
第七章 小学校に学ぶ経営哲学の本質
• 「失敗してもいい」という安心感
• 「できない子を見捨てない」という愛
• 「全員で卒業する」という一体感
この3つが、実は経営の核心だ。
人を切り捨てる会社は短命。
人を育てる会社は永続する。
だから私は言う。
日本に今一番必要なのは、小学校教育である。
終章 地上天国文明を共に創る仲間たちへ
これからの時代、AIがどれほど進化しても、
「人間の心」は代替できない。
人が人を思い、人を育て、人に感謝する文明――
それが「地上天国文明」だ。
私が夢見るのは、会社が「学校」になり、
経営者が「先生」となり、
社員が「生徒」として共に成長する社会。
利益は、光の副産物である。
心の通った経営からしか、本当の豊かさは生まれない。
私たちは、もう一度人間に戻るときが来た。
「相談役」として生きるとは、光を信じ、人を信じること。
その信の積み重ねが、やがて文明を変える。
【結び】
私は今、確信している。
経営とは教育であり、教育とは愛である。
そして愛の延長線上に、地上天国文明がある。
小学校教育の精神を経営に戻そう。
魂を磨く会社を、もう一度日本から創り出そう。
それが、私たちYou’sホールディングスが歩む使命である。