「地上天国文明建設」
― 企業の顧問を辞めて、相談役として生きていく ―
日本に今一番必要なものは、小学校教育である。
序章:私が顧問を辞めた理由
私はこれまで、100以上の業種、1000を超える職種に関わってきた。
経営者、専門家、顧問、コンサルタント、講師、研究者──
さまざまな肩書きを持ちながら、日本のあらゆる現場に立ち会ってきた。
しかし、ある日ふと気づいた。
どんなに知識を重ね、仕組みを整え、利益を積み上げても、
**「人間としての心」**が育っていない組織は、いずれ崩壊する。
企業の問題のほとんどは、経営戦略や財務の失敗ではなく、
「人間関係」と「心のあり方」にある。
だから私は、顧問という肩書きを下ろした。
知識を語る立場から、
人の心と真剣に向き合う“相談役”として生きることを決めた。
第一章:日本に今一番必要なのは「小学校教育」である
私は断言する。
今の日本に最も欠けているのは、経済力でもテクノロジーでもない。
**「小学校教育の本質」**である。
私は医療現場、福祉現場、法律事務所、教育現場──
あらゆる職場を見てきたが、共通して感じたのは、
人が人として成長するための「基本」が抜け落ちているということ。
小学校とは、単に国語や算数を学ぶ場ではない。
人との関わり、助け合い、感謝、反省、挑戦、そして笑顔。
人間として生きるための“根っこ”を育てる場なのだ。
企業も同じだ。
人が人を思い、協力し、責任を果たす「心の土台」がなければ、
どんなに立派なビジョンも、経営理念も、ただの言葉に過ぎない。
第二章:相談役としての生き方
私は今、相談役として生きている。
相談役とは、単にアドバイスをする人ではない。
「人の心を映す鏡」であり、「魂を磨く触媒」だと考えている。
社長や社員が迷ったとき、
私は正解を教えるのではなく、
「本来の自分」に戻る道を示す。
「あなたはなぜ、その道を選んだのか?」
「そこに愛はあるか?」
「子どものような純粋さを、今も持っているか?」
私はこの三つを、どんな経営者にも問う。
経営の根源は、“損得”ではなく“人間性”にある。
どんな事業であっても、そこに人を幸せにする心がなければ、
それは文明の破壊者になる。
第三章:地上天国文明建設という志
「地上天国文明建設」――
これは、私がこれから生涯をかけて取り組むテーマである。
この言葉を聞くと、多くの人は宗教的なものと誤解する。
しかし、私のいう“地上天国”とは、
**「一人ひとりの心が光で満たされ、他者を思いやる社会」**のことだ。
争いのない社会。
搾取のない経済。
恐れや怒りではなく、愛と調和で動く文明。
それを夢物語だと言う人もいる。
だが、私はこの目で“その兆し”を何度も見てきた。
小学校の現場で、
反抗的だった子どもが先生と真剣にぶつかり合い、
涙を流しながら、優しい目に変わっていく瞬間。
その一瞬の中に、確かに“地上天国”がある。
文明とは、建物でもテクノロジーでもなく、
「人間の心の状態」の積み重ねでできている。
だから私は、どんなに小さくても、
人の心が光を取り戻す瞬間を積み上げていく。
それが文明建設の第一歩なのだ。
第四章:企業は“魂の学校”である
企業は利益を出す場であると同時に、
**“魂の学校”**でもある。
経営者は先生であり、社員は生徒。
顧客はともに学ぶ仲間だ。
だから会社とは、「人間教育の場」でなければならない。
数字だけを見る経営では、いずれ心が枯れる。
利益を超えた「人の成長」を目的にしなければ、
本当の意味での永続はありえない。
私は多くの経営者に出会ってきたが、
真に尊敬できる人は、**「人のために泣ける人」**だった。
社員が苦しんでいれば、自分のことのように痛む。
その心が、会社の文化を作る。
相談役として、私はこう伝えている。
経営とは、数字の上に立つ“教育”である。
教育とは、教えることではなく、信じることである。
信じるとは、光を見出す力である。
第五章:小学校教育の再構築
では、なぜ小学校教育が今、最も必要なのか。
それは、すべての問題が**「小学校の心の欠落」**から始まっているからだ。
・いじめの根
・パワハラ、モラハラの根
・経営者の孤独や傲慢の根
・家庭の崩壊の根
これらはすべて、「人とどう関わるか」を学ばなかった結果だ。
小学校では、本来「生き方」を学ぶ。
しかし今の学校では「知識」が優先され、
心を育てる時間がどんどん削られている。
だから私は提案する。
小学校教育を社会全体の土台に戻そう。
企業研修も、経営者教育も、すべて小学校教育から再構築する。
あいさつ、掃除、助け合い、感謝、反省、笑顔──
これが経営の原点であり、人類の未来をつくる。
第六章:文明再生のために私たちができること
地上天国文明は、一人の力では成し得ない。
しかし、「一人の心の変化」からしか始まらない。
だから、私は次の三つを提唱する。
① 相談文化の復活
人は孤立したときに誤る。
悩んだときこそ、人に相談する勇気を持つ。
それが光への扉になる。
② 教育の原点回帰
小学校教育の精神を、家庭と職場に取り戻す。
礼儀、感謝、助け合い、努力。
これを再び“誇れる文化”にする。
③ 愛と真実の経営
経営とは、愛の実践であり、真実の探求である。
嘘やごまかしではなく、誠実に人と向き合う。
その積み重ねが文明の柱になる。
終章:すべての原点は「人」
私はいま、人生の集大成として、
**「地上天国文明建設」**を掲げている。
それは壮大なスローガンではなく、
**“今日ここで人と真剣に向き合うこと”**から始まる現実だ。
顧問としてではなく、相談役として。
上から教えるのではなく、共に歩む者として。
人の心に光を灯す。
それが私の使命であり、
この日本を再び“心の豊かな国”へと導く道だと信じている。
地上天国文明建設。
それは、遠い未来の理想ではない。
いま、この瞬間のあなたの優しさ、誠実さ、感謝の中にこそある。
私は今日も、相談役として生きる。
誰かの心に、ほんの少しでも光が差すことを願いながら。
✴️ 新原克弥(NKCSホールディングス)