【はじめに】
私はこれまで、1000以上の仕事、100以上の業種を見てきた。
医療現場、福祉現場、法律事務所、建設、IT、コンサル、経営支援――そのすべてに共通していたのは「人」だった。
どの世界も、最後は「人間関係」に行きつく。
しかし、多くの大人がその本質を忘れている。
利益や効率を優先するうちに、心が置き去りにされている。
私はそこで気づいた。
人の成長、信頼関係、学びの原点は、小学校にあったのだと。
第1章 小学校にあった“人間の学び”
小学校とは、人間のすべての基礎が詰まった場所だ。
勉強よりも先に、「人とどう関わるか」を学ぶ。
子どもたちは、毎日が挑戦だ。
けんかもする、泣く、怒る、笑う。
でも、その繰り返しの中で「心の筋肉」が育っていく。
反抗する子が、ある日、先生に「ありがとう」と言う。
泣いていた子が、友達を励ます。
そこに“人間の進化の瞬間”がある。
私は1000の職場を見てきたが、
この「変化の瞬間」を本気で作り出している現場は、
小学校以外に見たことがない。
第2章 なぜ企業は人の心を忘れるのか
社会に出ると、人は仮面をかぶる。
「社長だから」「上司だから」「お客様だから」と、
自分を守るための“立場の壁”を作ってしまう。
結果、報連相はあるが、心の対話がない。
数字はあるが、信頼がない。
仕事はあるが、感動がない。
これが、現代の企業が抱える最大の病だ。
会社という組織は、“大人の小学校”のはずなのに、
人との関わりを「効率」で処理してしまう。
だから、どれだけシステムを整えても、心がバラバラになる。
第3章 経営者に必要なのは「小学校の再教育」
経営者教育というと、多くの人は数字や戦略を学ぶ。
だが、経営で一番難しいのは“人の心を動かすこと”だ。
部下を育てるのも、お客様を信頼させるのも、
結局は「人として向き合えるかどうか」にかかっている。
小学校では、先生が一人ひとりの子どもと向き合う。
叱ることもある、抱きしめることもある。
信じて待つこともある。
この「人と本気で向き合う姿勢」が、
経営者に今、一番欠けているものだ。
【問い①】
あなたの会社で、最近「泣いた」「笑った」「感動した」瞬間はありますか?
もし思い出せないなら、それは会社が“人の温度”を失っているサインです。
第4章 小学校型経営の3つの原則
① 人を数字でなく“魂”として見る
小学校の先生は、子どもを成績だけで評価しない。
その子の内面の光を見抜く。
経営者も同じだ。
社員を「売上」や「成果」だけで見てはいけない。
その人が何を恐れ、何を望み、何を信じているか。
そこに目を向けることで、はじめて人は動き出す。
② 間違いを責めず、成長の種とする
子どもたちは失敗から学ぶ。
転んで、泣いて、反省して、また挑戦する。
企業もそれでいい。
失敗を恐れて動かなくなる組織よりも、
失敗を糧に前に進む組織が強い。
③ 感情を共有する文化を作る
小学校では、喜怒哀楽をそのまま表現する。
嬉しいときは笑い、悔しいときは泣く。
その素直さが、チームの信頼を深める。
経営も同じだ。
リーダーが自分の感情を正直に語ることで、
組織に「本音の風」が吹く。
第5章 人を育てる経営とは
教育とは、「心の再生産」である。
先生が子どもに信じる力を渡すように、
経営者は社員に「信じられている実感」を渡すべきだ。
人は、信じられることで変わる。
見放された瞬間に、心の灯が消える。
だから私は、どんな社員も「子どものように信じる」ことを大切にしている。
怒ることもある。厳しく言うこともある。
だが、心の底では「あなたにはできる」と信じている。
その“信の力”が、会社を動かす。
【ワーク①】
あなたが経営者として“先生”のように社員と関わった経験を3つ思い出して書き出してみてください。
・どんな状況だったか
・どんな言葉をかけたか
・その結果、相手はどう変わったか
第6章 未来の経営者教育は「教室」になる
これからの時代、AIやロボットがいくら進化しても、
人の心までは再現できない。
だからこそ、経営者が「教育者」に戻る時代が来る。
小学校の先生のように、社員を“人として育てる”リーダー。
そのような経営者が増えたとき、社会は確実に変わる。
会社が「働く場所」ではなく、「学びの場所」になる。
社員が「労働者」ではなく、「成長する人間」になる。
そうなれば、企業はただの組織ではなく“魂の学校”となる。
それが、私が目指す「人間経営」である。
【問い②】
あなたの会社は、社員が「心を成長させられる場所」になっていますか?
もし違うなら、まずリーダー自身が“学ぶ姿勢”を見せることから始めましょう。
第7章 小学校から学ぶ経営者の心得
- 子どものように、素直に人を信じること。
- 失敗を恐れず、挑戦を称えること。
- 心で話し、感情を閉じ込めないこと。
- 「ありがとう」を日常にすること。
- 部下の“変わりたい”を信じて、待つこと。
これらはすべて、小学校で教えられていたことだ。
しかし、社会に出ると多くの人が忘れてしまう。
だからこそ、経営者こそが“もう一度小学校に戻る”必要がある。
【まとめ】
1000の職場を見て、100の業種を渡り歩いてきた。
そのすべてを越えて、私がたどり着いた答えはひとつ。
「人間の原点は小学校にある。」
子どもたちの純粋な関わりの中に、経営のすべてがある。
経営とは、数字を動かすことではない。
心を動かすこと。
その心の教育こそが、真の経営者教育だ。
小学校が一番素晴らしかった。
だから私は、そこから“もう一度、社会を教育し直す”。
経営も政治も、家庭も、
すべての出発点は――教室の中にある。
